COP4開催とPFCsとリスク

5月4日〜8日までストックホルムにて,POPs条約によって規定されていた会議COP4が開催されました。新たに9つの物質がPOPs条約の付属書に追加されることとなりました。付属書Aへは7物質(3種の難燃剤(群)を含む),付属書Bヘは物質,付属書Cへ1物質という振り分けになりました。

経済産業省HP
環境省HP
UNEP本部HP

付属書Bへ振り分けられたのがPFCsです。
本物質は,エッセンシャルユースに関しての(費用対効果に優れた)代替物質が見つからなかったために,付属書Bへの登録となりましたが,今後も付属書Aへのランクアップが期待されています。

そして,次に世界が注目するのがHBCDだろうと思います。
前回は不備がありPOPRCで検討されなかったわけですが,次回はガチです。付属書入りになったとしても,代替ができるのかどうかについて,きっちりと経済性評価をしてほしいと思います。
あと,POPs条約というのは,ある意味,国の法律なんかよりもよっぽどクリティカルな(特に日本政府にとっては最もクリティカルな),小学生の社会の教科書に載るような世界的条約ですので,詳細な検討を求めます。リスクトレードオフにより,何らかの負荷がかかっているPartはないか?
DDTのように,リスクを減らしたと思って安心していると,その裏で逆に何らかのリスクが増大しているかもしれません。
HBCDのリスクのトレードオフとなりかねないのは,エネルギー的なトレードオフです。例えば,HBCDを難燃剤として使うことで使用できているXPS断熱ボードは,昨今の省エネルギー住宅には欠かせないものです。このXPS断熱ボードを,難燃規格をクリアした状態で使用することのできる,そんなベネフィットをHBCDは持っています。
まずは,今年の10月に予定されている,次期POPRCを見守ることにしましょう(それまでに何らかの提言ができるまでになればいいのですが)。

話は変わりますが,PFCsがPOPsリストに入ることにより,論文がわんさか出てくることでしょう。
本来評価しなければならないことについて,見失わないようにしなければなりません。自戒の念をこめなければなりません。

早速,RIVMがこの昨日5月14日に「企業で使用されているPFOSの排出と暴露推定」という名前で,面白い評価書を出したようです。

Bruinen de Bruin Y, Zweers P, Bakker J, Beekman M(2009)Estimation of emissions and exposures to PFOS used in industry. An inventory of PFOS used in metal plating and fire fighting  HTMLはココ

オランダでは,金属メッキと消火用にPFOSが用いられており,金属メッキ業界は年間390kgのPFOSを使用していると推定しているものの,消火用に空港や化学工場にある消火用発泡剤はフローが押さえられていないようです。
著者らは,本評価書で集めたデータであったり,解析手法はREACHにも応用できると言っています。