Environmental Canadaの新たな報告書

Draft State of the Science Report on the Bioaccumulation and Transformation of Decabromodiphenyl Ether (PDF)
March 2009 Environment Canada
http://www.ec.gc.ca/CEPARegistry/subs_list/decaBDE/SR.pdf

パブリックコメントを5月27日まで60日間集めていたらしい。

Revised Risk Management Strategy for Polybrominated Diphenyl Ethers (PBDEs)
Public comment period March 28, 2009 to May 27, 2009.
http://www.ec.gc.ca/Toxics/docs/substances/PBDE/rrms/en/intro.cfm

カナダでは非常に有名な環境団体エコジャスティス(Ecojustice)は以下のようなコメントを出している。たぶんエレーナ・マクドナルドさん(科学者)がほとんど書かれたものだと思う。彼女はEcojusticeのPBDE分野を担っているようだ。
http://c.cela.ca/vhosts/cela.ca/files/DraftSOSComments-DSF-ED-EJ-CELA.pdf

さて,この報告書では題名の通り蓄積性と低臭素化問題に関する最新の知見をレビューして(自分たちで調査しているものもある模様),以下のような結論を導いている。

  • 2008年3月31日に公開したレポートにおいて,「DecaBDEは生物学的に利用され,特定の種に対してリスクが発現する程度まで急速に蓄積されること」が示唆されていた。しかし,入手可能な限りのデータでは,CEPA 1999で指定されている高蓄積性の閾値を越えていない。→つまり,現実的には高蓄積性と分類できないと言っている。
  • 臭素化については,ラボ環境では起こるとされているものの,実環境ではその反応が非常に遅い。
  • 商業品中に含まれている他BDEsのせいで(特にOctaBDEとNonaBDEが大きな阻害要因として考えられている),DecaBDEからの低臭素化を定量評価できない。(→今になってもまだ解明されていないのか)
  • DecaBDEの代替物質として主に用いられているdecaBD ethaneはDecaBDEと非常に構造が似ているために,物理化学性状も似ている可能性があるため,リスク評価を行わなければならない。(→どこまで行ってもイタチごっこなわけですね)

結局のところ,「良く分からないことが良く分かった」のでしょう。今年中にはHBCDの評価書も出てくるという話があるので,期待しつつ待っているところ。