DecaBDEの最新の科学的知見が確認されるinCARACAL

EBFRIP(European Brominated Flame Retardant Industry Panel)が,2月3日にブリュッセルで開催されたCARACAL(Competent Authorities for REACH & Classification, Labelling and Pachaging of Substances)の会合で発表された「DecaBDEに関する最新の科学的知見」をまとめ,公開している。この会議の内容は本ブログでも2月6日に取り上げている。→http://d.hatena.ne.jp/d08hf007/20100206


臭素系難燃剤工業会だから仕方ないが,こういった科学的知見をまとめたりする場合には,都合のいいことばっかり書いていると返ってあやしく思えてくる。果たして本当のところはどうなのか,実際には自分は会議に出席していないし,議事録も手に入れていないため詳細な内容を追い切れていないので分からないのだが。臭素系難燃剤推進派なのはいいけれど,もっと公平な視点に持って行った書き方をぜひともしていただきたい,と思ったりしながら以下の文章をまとめる。)

Update on scientific and regulatory status of DecaBDE in Europe
EFBRIP statement
8 February 2010

  • 発達神経毒性の試験は終了しており,今回設定された濃度レベルでラットに影響は見られなかった。今年の夏以降にPublishされる予定。
  • Environmental programmeではヨーロッパ数カ国における底質中,下水汚泥中,鳥卵中のDecaBDE濃度のモニタリングが行われている。4年間分の測定分析が終了し,いくつかのサンプルで微量の低臭素化PBDEが発見されたが,定量下限値以下のサンプルもいくつかあった。これから言えるのは,DecaBDEから低臭素化PBDEへの移行率はかなり低いということだと考えられる。今後の調査が期待される。
  • バイオモニタリングにおいては145人の欧米女性の血中DecaBDE濃度が分析された。詳細な疫学調査の結果はまだ出ていない。母乳中DecaBDEの濃度レベルの分析は次回のバイオモニタリングで取り入れられる。
  • 2008/2009年VECAPの結果が公表されている。結果は良好。

以上,これらをまとめてEBFRIPは以下のように結論付けている。
“DecaBDEに関する最新の科学的知見はDecaBDEに重大なリスクが存在しないことを証明している。これは非常に喜ばしいことである。我々は,DecaBDEの安全な使用(ヒト健康や地球環境への影響を小さくする使用)の継続を続けていく。”

まさに
「安全。でも,安心できない。」