難燃剤の添加量

環境科学会の予稿集でも見られたことだが,DecaBDEのプラスチック含有量がかなり低く見積もられている。9%とか。おそらくこれは,臭素の含有量レベル。難燃剤の含有量と臭素の含有量はことなることは当たり前。
国環研のとある研究成果報告書でもさっき見つけて,これはどうしたものかと思ったり。
一般的には臭素含有量が10%でV-0が得られるとされている(ちなみに,リンは含有率8%とかだっけ?でV-0がすんなり得られる)。V-0というのは難燃性のレベルを示すもので,日本のテレビ筐体にはこのレベル以上の難燃性が保たれている(酸化アンチモンと併用)。
じゃあ,DecaBDEはいくら添加したらこの難燃性が保てるかというと,以下のような計算をする。
DecaBDE 0.1% ÷ 0.83(DecaBDEの臭素含有量)= 0.12(DecaBDEを12%配合すればV-0になる)
という簡単な計算で,DecaBDEの配合割合が計算できる。それを使えば以下のような計算も可能。
0.12x¥400/kg(仮のDecaBDEの価格)=¥48/臭素
つまり,含有臭素あたりのコストが計算できたりする。他と比較すると…(これが正しい値ということではない。もちろん,取引量によってコストというのは非線形的に変化する。)
 TBBA   ¥62/臭素
Low MW BEO ¥85/臭素
 PBB-PA ¥119/臭素
という風に,DecaBDEのコスト対効果が段違いに大きいことが分かる。なぜか?(1)火に直接作用するのは臭素原子であり,難燃剤一分子あたり,臭素含有量がどれだけ高いかが勝負になる。(2)そもそもの難燃剤のコストがDecaBDEは安い。
つまり,DecaBDEは安価で高パフォーマンスを約束された難燃剤である。