NEC,世界最高水準の環境対応ハロゲンフリー樹脂の開発・実用化
2週間ほど前,NECがポリ乳酸を主要な樹脂成分として使用した新世代のバイオプラスチックの開発に成功し,プレスリリースを行っていた。
世界最高レベルの環境調和性を実現した難燃性バイオプラスチックを開発・実用化
http://www.nec.co.jp/press/ja/0911/0402.html#04
本製品のウリは以下の三点。
1.有機成分中の植物成分率:75%以上(石油成分利用率:25%以下)
2.ライフサイクルCO2排出量:PC/ABSの50%
3.ハロゲン系難燃剤無添加で、高度な難燃性:UL V-0を達成
玄人好みの売りポイントとしては,高度な難燃性と,良好な成形性(流動性,成形時間)や耐衝撃性などの実用特性を初めて両立した,というところ。もちろん,製品によっても,使用部位によっても,材料に求められる性能は異なるため,本樹脂がどういった部分に使われるようになるのかを知りたいところではある(ビジネス向けパソコンに使用されると明記はされているが,果たして「ビジネス向けパソコン」とは何なのか,どんな部位に用いられるかは明記されていない)。AV機器や複写機の筺体レベルの部位に使えるのであれば,これはすごいでしょう。スーパーイノベーションですね。
難燃剤には無機系の難燃剤「水酸化アルミニウム」を使用し,どうやら独自に開発した特殊な難燃助剤を混ぜているようだ。
水酸化アルミニウムは臭素系難燃剤,リン系難燃剤に次ぐ第3の難燃剤。その他シリコーン難燃剤とかも有力視されているのが現状だった。ビール・発泡酒・新ジャンルビール(第3のビール)みたいな感じになってきている。規制とか税制とかが入ると,食品業界・工業界を問わずどこも同じですね。
問題なのは,コストでしょう。製品に使うためには材料としての性能もあると思いますが,コストも重要なファクターになり得えるはず*1。
『今回の製品の売り上げ』 > 『樹脂コスト』
が成り立てくれればいいが,それは今回のニュースがどこまで広がり,消費者にどれだけ訴えることが出来るかにかかっているだろう。果たしてNECの戦略が消費者のニーズにマッチすることが出来るのか。今回はNEC商品のみでの使用ということなので,コストの問題を最も気にする必要はなかったわけだが。
そしてNECは今後の展望を以下のように述べている。
NECは現在の家畜飼料用の穀物を主に利用しているバイオプラスチックに加え,将来への取り組みとして,今後,セルロースなどの非可食原料を利用するバイオプラスチックの開発も積極的に推進していきます。
とのこと。イノベーションは止まるところを見せない。