公開書簡 CLP/EU HBCDのヒト毒性のレビュー

欧州国連のGHSに基く欧州の分類・表示・包装規則:CLP規則に従い,スウェーデンのKEMIがHBCDに対するHarmonised Classification and Labelling(ハーモナイズド分類と表示)の提案を行っています。
11月4日から公開しており,45日間のパブリックコメント募集中のようです。つまり今月の19日まで受け付けているようです。情報キャッチが遅れました…

スウェーデン側の提案としては,HBCDのハザードを高めに見せたいわけですから,これまで着目されていたエンドポイントよりももっときつめのエンドポイントを提案しています。Ema(2008)や内分泌論文(2009),Saegusa(2009)※など,EURAでは取り上げていない新たな知見や,SVHCでもおそらくそこまで議論として取り上げていない最新論文を用いての議論をしています。そうですか,内分泌は生殖毒性に入るのですか。


※ちなみに,Saegusa(2009)は国際的な試験方法に則ってはいませんが,妊娠中の母ラットにHBCDを暴露させて次世代ラットの発達影響をエンドポイントとして,LOAELを81-213 mg/kg/day,NOAELを8-21 mg/kg/dayという結果を出していますが,化審法を始め世界の公的機関で主に用いられているEma(2008)の10mg/kg/dayと同等かむしろ毒性は低いという結果になっています。


結論としては,
「胎児への生殖障害と“乳児への影響の懸念あり”に分類されることから,生殖毒性がエンドポイントとしたヒト健康リスクがあり,カテゴリー3にあたる」
に持っていこうとしているようです。
REACHのSVHCでの許認可対象でも,POPs指定でもない第3の角度から攻めてくるというのは,気づきませんでした。