Albemarleの戦略:eco-friendlyを実現する難燃剤を
12月8日,臭素系難燃剤大手メーカーのアルベマールからニュースリリースが出ていた。
Albemarle(R) Announces Breakthrough in Flame Retardant Materials Technology
http://www.albemarle.com/?news=text&releaseID=1363287
詳細部分については明記されていないが,アルベマールが新たなブランドを立ち上げ,これまでの難燃剤業界の常識に捕われない,新たな価値観を全面に押し出して“eco-friendlyな”製品を提供しようとする動きのようである。
2010年の下半期に商品が市場に出てくるとのこと。
キャッチフレーズはこうだ。
Increase your environmental responsibility
- Without lowering your performance standards -
「何を以ってeco-friendlyと考えるのか」,「高まっている環境配慮への責任とは一体何を指すのか」等,もっと明らかにして欲しかった。でも,これまでの戦略で世の中のイメージが変わらないのなら,新たな戦略をとることはむしろ必然だろう。
以下,アルベマールが重要視しているポイントを列挙する。
- Sustainability(樹脂の寿命を長くする,製品のもつパフォーマンスを最大限に引き出す)
- ライフサイクル視点(製造〜廃棄&リサイクル&リユースまでを考える)
- non-toxic,non-bioaccumulative
- favorable GHG footprint(温室効果ガス)
一つ気になる点がある。毒性がアルとかナイとか,蓄積性がアルとかナイとかはどうやって定義するのだろう?基本的に臭素系難燃剤は他の化学物質に比べたらbioaccumulativeだったりpersistenceがあったりするのだけれども。臭素系以外の難燃剤でも,ゼロリスクを目指すようなクライテリアを設定しているのならば選択されないだろうし(臭素系なら蓄積性が,リン系なら神経毒性が大なり小なり存在する)。
ココが今回の一番のミソなのでは?つまり,これまで,難燃剤には persistent,bioaccumulative,toxicity の有無というスクリーニングが掛かっていた。しかし,実際に環境問題を考える際には一つの軸では不十分である。言い換えれば,「地球温暖化問題や資源枯渇問題などの視点でも考えなければeco-friendlyとは言えない。トータルパフォーマンスを重要視すべき」との主張を全面に出す戦略と考えることができるのでは?
地球温暖化とか製品のパフォーマンスとかエネルギー等の指標に横串を通して統一的に考えることはできないかもしれないが,間違った方向性ではないと思う。(文章中でも見かけたフレーズを借りると)この新しい概念を用いることで,今後のNew waveに繋がったら面白いんだろうなぁと思う。