DecaBDEの対応に焦る欧州各国
先週ブリュッセルで開催されたCompetent Authorities for REACH and CLP(CARACAL) で,DecaBDEの管理方法について一悶着があった模様。Chemical Watch が報じている*1。
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UK to build case for EU controls on deca-BDE
http://chemicalwatch.com/3279
米国EPAが去年暮れに発表したDecaBDEの段階的廃止措置に参加国は大きく揺れたようだ。「なぜ米国とEUで違う措置を取らなければならないのか?」という意見が掲載されている。
しかし,「すべてのリスクマネジメントオプションが適切に考慮される前に結論へ飛びつかないほうが好ましい」との結論になったという感じか。
- オランダ政府はDecaBDE製造業者と英国・仏国の報告者がEUリスクアセスメントの進捗(DecaBDEは現在,10年間の環境バイオモニタリング期間中であるため)報告をすべきと主張した。
- 英国の代表団は,最新の研究結果に基づいて,DecaBDEが環境中で低臭素化することを示す強力な証拠があることに言及した。
- 英国当局は,①低臭素化PBDEがDecaBDEから派生してきているのかどうか,②低臭素化のタイムスケールに関してまだまだ不確実性が存在することに言及した(しかし,DecaBDEとその低臭素化物質の間に関連を示す証拠があるこ,という文脈において)。
- 英国及びウェールズの環境当局はACHS*2に対し,DecaBDEがREACH条項中の“Substances of equivalent concern(=同等の懸念)”に該当するかどうか,判断を仰いだ。もし,ACHSが頷けば,DecaBDEをREACHのSVHCとして管理する準備を整える,と英国は明言している。ただし,実際に許認可が本格化する2010年8月に間に合わせるかどうかは不明。
Substances of equivalent concern とは,僕も勉強不足だが,どうやらREACHの高懸念物質に横入り出来るカテゴリーのことのようだ。難燃剤(ここでいうDecaBDE)はこのカテゴリーに入る最有力候補物質と位置付けられている模様。DecaBDEが低臭素化するかしないかが分からない現状は,REACHの下でコントロールする十分な理由になるではないか,というのが現在の議論。
化学物質問題市民研究会作成の図を引用