NITEのCMCレターを読んで

2009年6月(最新号) NITE CMCレター第11号
http://www.safe.nite.go.jp/shiryo/cmcletter/pdf/CMCletter_No11.pdf

今回は特集として「化学物質管理のリスクコミュニケーションの課題」が組まれており,産総研の岸本充生さんが寄稿されていた。そしてこれを読んで何とも,唸ってしまった。

リスクコミュニケーションの壁を超えるには
独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部門 岸本充生

岸本さんはリスクコミュニケーションの重要性を説きながらも,以下3つの課題点を挙げている。

  • 1点目:戦略の欠如

リスク概念に基づく合理的な意思決定を社会に普及することが目的であることからして,それに到達するための手段,戦略が必要。つまりは,事業者自身がリスクに基づかない行動をしていては,消費者との意思疎通など図れるはずはない,ということ。

  • 2点目:リスク評価の欠如

「リスク評価なくしてリスクコミュニケーションなし」。現在のリスクコミュニケーションとして解説されているものはコミュニケーションのノウハウばかりで,リスク評価をきちんと実施し,そのプロセスや結果をどのように伝えるかという重要な側面が抜け落ちている。

  • 3点目:「リスク」のみコミュニケーションになっている

リスクだけでなく,ベネフィットも同時にコミュニケーションしないと意味がない。


僕は3番目の部分しか頭になかった(自身がベネフィット評価に興味を持っているため)。なんとなく,リスクコミュニケーションっていうものは形式化しているのかな,という素人考えの印象を持っていたのだけれど,あまり本質はつけていなかった。岸本さんの次の章で寄稿されている竹田さんのような,リスクコミュニケーションのプロフェッショナルから見ればまだまだ問題点はあるのだと思うけれど。皆さんはいくつ問題点を挙げられますか?
最後に純粋抜粋。

PRTR制度の対象物質の環境排出量を削減したことを伝えることは,リスクコミュニケーションではありません。そのことが代替物質やライフサイクルまで含めて本当にリスクを減らしたのか説明されて初めてリスクコミュニケーションです。

参りました。