リスク

ナノマテリアルを定義するな

ナノマテリアルのRegulatory Scienceの大御所Andrew Maynard氏の論説がNature誌に掲載されたらしい(Nature 435, 31)。それに伴い、彼のブログに初稿版が掲載されている。 Nature誌の当該記事だと読むのに32ドルかかってしまうところを、イキなはからいをし…

防災から減災へ

ある方のツイートより。 「防災から減災へ」って、言い換えると、「ハザードベイストからリスクベイストへ」ということだ。自然災害対策もリスク評価・管理に基づく時代がきたわけだ。 最近で一番うなった一文。 同様の傾向は、温暖化への適応策(温暖化を受…

中西準子さんの久々の論説

自然エネルギー、地に着いた議論がしたい―経済リスクも見落とせない WEBRONZA 2011年6月27日 http://astand.asahi.com/magazine/wrscience/2011062500004.html 化石燃料、原子力及び再生可能エネルギーについて、現在のリスクと将来のリスクを比較している。…

リスクの定義

頭士さんBlog ヤバい統計学を読んでみた 2011/7/4 http://zushiy.blog133.fc2.com/blog-entry-73.html 頭士さんは、「100年に1度という非定常事象をどう評価していくか」というなげかけに対して、時間スケールを評価軸に加えていく必要があるとし、リスクの…

OECDの規制改革に関するレビュー

Risk and Regulatory Policy: Improving the Governance of Risk (OECD Reviews of Regulatory Reform)作者: Organisation for Economic Co-Operation and Development出版社/メーカー: OECD Publishing発売日: 2010/04/30メディア: ペーパーバック購入: 1人…

良い研究成果を意思決定に繋げるためには?

Medina, S., Le Tertre, A., & Saklad, M. (2009). The Apheis project: Air Pollution and Health A European Information System. Air Quality, Atmosphere & Health. Vol.2: 185-198. EUではPM2.5の基準を15 µg/m3にした方が良いという研究成果が出ている…

nano materialのライフサイクル評価

ナノマテリアルでもその製造〜使用〜廃棄のフローを追って,各フェーズから環境中への排出量を見て,経年変化して行くフロー量を見て,環境中での濃度を予測する,という論文が出ていた。EU,米国,スイスのフローを押さえたというのも大きなウリではないか…

産総研 土壌リスク評価モデルGERAS

産総研TODAY(2010)Vol.10,No.01 でGERAS-3の記事が出ていたので,ふと思い出して日記を書くことにする。 土壌・地下水汚染のリスクを評価するシステム「GERAS-3」を公開 2009年9月30日 http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090930/pr2…

EPA 既存化学物質アクションプラン立ち上げ

明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。 さて,2009年が終わりになりかけた時,EPAが新たな政策を立ち上げたようだ。 まだアクションプランの内容をよく理解できてはいないのだが,どうやらTSCAでは遅々として進まなかった化…

モデル,モデル,モデル

Centre for Environmental Modelling and Chemistry(CEMC) Model Index http://www.trentu.ca/academic/aminss/envmodel/models/models.html Centre for Environmental Modelling and Chemistry(CEMC) Spreadsheet Models http://www.trentu.ca/academic…

松田裕之さんのネーミングセンス

いつも思いますが,松田先生のネーミングのセンスは読者をそそりますね。面白い。日ごろから考えているからでしょうか。会う度に出てくるギャグは,こういったネーミングを戦略的に考えるために行っている行動でしょうか??(個人的にはそんなこと考えてギ…

代替評価専門機関

それにしても前から注目はしていたけど,マサチューセッツ大学Lowellセンターというところの代替性評価はすごいな〜 http://www.sustainableproduction.org/publ.shtml#CleanProduction 水銀を含んでいる製品の特定とその代替性評価をやってのけている。ここ…

RoHS指令,時代の流れを早めるか

11月19日のENDSレポートの速報によれば,RoHS規制を強化すべきとの主張をつづったRoHS改正案が欧州議会議員(英国選出/緑の党!)より議会に提出されたらしい。 http://www.endseurope.com/22652?referrer=search ENDS EUROPEは無料ではないが,数日間のフ…

リスク評価をどう位置づけるか

11月29日(日),日本リスク研究学会@早稲田の最後のセッションで岸本充生さんが「リスク評価再考:変化する社会の中で適切に位置付ける」というタイトルで講演された。非常にExcitingなプレゼンだった。 5つの社会の変化が起きているのだという。「リスク…

残留農薬の一律基準廃止:海外はどんどんと進んでいく

畝山さんの食品安全ブログより 情報通知:食品の残留農薬一般最大規制値0.1 ppmを使うことを最小化することについての進行状況 Information Note: Progress on Minimizing Reliance on the 0.1 Parts per Million as a General Maximum Residue Limit for Fo…

リスク評価をどう位置づけるか

11月29日(日),日本リスク研究学会@早稲田の最後のセッションで岸本充生さんが「リスク評価再考:変化する社会の中で適切に位置付ける」というタイトルで講演された。非常にExcitingなプレゼンだった。 なぜだ?日記更新ができません。 http://blogs.yaho…

もしも,BSE全頭検査が「事業仕分け」の対象となったなら…

日経BP関連にFood Scienceというページがある。 http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/index.jsp 食の機能と安全を考える専門ウェブサイトとして食の安全を巡る諸問題について,食に関わるあらゆる専門家に向けて最新情報を提供している(ほとんど有料,部分的…

畝山智香子さん横国大で講演

益永茂樹先生の大学院生への講義「リスク社会論」では,毎年,外部講師の方を招いて講義を行っていただく形式をとっています。今年の外部講師は(どうやら僕のアイデアが採用されたようで)畝山智香子さんに白羽の矢が立ちました。結果,快く引き受けていた…

中西準子さん横国大へHome Coming+講演

横浜国立大学は毎年,学部・世代・属性の垣根を越えた交流・ネットワーク創りの場を提供することを目的としてHome Coming Dayというイベントを実施している。 ホームカミングデーHP 今年はメイン講演で中西準子先生がお話された。演題は「食のリスク,環境の…

米国のインフルのリスクは 5×10^-4 くらい!?

インターネットニュースを見ていたら,オバマ大統領が新型インフル緊急事態宣言を出したらしい。この4月から新型インフルエンザによる米国での死亡者数が(4月の流行開始以降から累積)1,000人を超えたとの発表が米国疾病対策センター(CDC)から発表された…

リスク管理と予防原則は並列的に扱えるという提言

決定分析的リスク管理(これまでのリスク評価を用いた管理のことを指している)と予防原則の考え方の総意に注目すると,現在あまり明確には識別されていない3種類のリスク管理手法を提示でき,それを用いて新たな「包括的リスク管理」スキームを提案できると…

魚は心疾患のリスクを下げないかもしれない

食品安全ブログより引用。 心疾患予防に魚は重要ではない No major role for fish in the prevention of heart failure (29-Sep-2009) http://www.eurekalert.org/pub_releases/2009-09/esoc-nmr092809.php European Journal of Heart Failureの2009年9月30…

リスクを過剰に見積もってさらに下げる意味はある?

最近畝山さんのブログから引用させてもらいすぎる感があるが,非常にためになるのだから仕方ない。 畝山さんの今回の提供記事は論文紹介。 フタル酸のリスクと規制は現在どうなっていて,本当のリスクはどれくらいになっていて,今後どうすればいいか,を著…

公開書簡 中国の子供の鉛中毒は重大。しかしそれ以上に生態系はどうなってしまっているのだろうか?

国立衛生試験所所属 畝山智香子さんのブログを読んでいて,これはちょっとびっくりしすぎてしまったので,とりあえずメール回します。 中国での鉛中毒の話ですが,いやはや,こうなるまで明るみになってこないのがおかしい。 ヒトは健康影響を目視できるので…

科学的評価の伝え方

FoodScienceに定期的に畝山さんが投稿されている中の,一部を掲載する。畝山さんのページはUP後数日で無料で閲覧できる。 2009-06-24 うねやま研究室●新型インフルエンザの安心宣言から「安全・安心」を考える http://biotech.nikkeibp.co.jp/fsn/kiji.jsp?k…

企業が化学物質のリスクを削減する動機は何か?

2009年の環境経済・政策学会は千葉大学で行われる。そのアブストが先日Web公開になったのだが,その中で面白い演目を見つけた。 企業が化学物質のリスクを削減する動機は何か?:日本のPRTR制度を使った実証研究 ○小俣幸子(東京工業大学) 討論者:山口恵子…

カドミウムと食品安全委員会

食品安全委員会の汚染物質部会,つまりはカドミウムのTWIの是非を決める部会の最新会議の議事録・カドミウム評価書が出たようだ。 第一回汚染物質会(4月7日) http://www.fsc.go.jp/senmon/kagaku_osen/k_o_osenbukai-dai1/index.html ・EFSAによる評価概要…

NITE化学物質管理センター成果発表会を見て

NITE化学物質管理センター成果発表会 2009 http://www.safe.nite.go.jp/seika2009/seika2009_repo.html 発表スライドが公開されている。その中で,面白いなと思ったスライドをメモ。 「化学物質のリスク評価への理解と期待」亀屋 隆志 http://www.safe.nite.…

科学技術をめぐる論争とフレーミング

Web上でたまたま見つけたのでここに紹介する。 科学技術のガバナンス〜科学技術社会論の視点から〜 平川 秀幸 http://www.n.t.u-tokyo.ac.jp/gcoe/shiminkouza/docs/hirakawa.pdf ここに面白いスライドがいくつか掲載されていた。 スライド11 GM作物の栽培を…

NITEのCMCレターを読んで

2009年6月(最新号) NITE CMCレター第11号 http://www.safe.nite.go.jp/shiryo/cmcletter/pdf/CMCletter_No11.pdf 今回は特集として「化学物質管理のリスクコミュニケーションの課題」が組まれており,産総研の岸本充生さんが寄稿されていた。そしてこれを読…