HBCDの主要な暴露経路は食物ではなくダストである

EHPから新たな論文が出る。現在In pressの状態で,PDFは何らかの誤作動でダウンロードできなくなってはいるが,Environmental Health Newsで記事が取り上げられているので,大体の内容を見ることができる。また,Dioxin2009で,本研究が発表されていた。そういえば,近日中に論文が公表されますっ言っていたのを思い出した。EHPのことだったか。

Roosens L, MA Abdallah, S Harrad, H Neels and A Covaci. 2009. Exposure to hexabromocyclododecanes via dust ingestion, but not diet, correlates with concentrations in human serum - preliminary results.
doi:10.1289/ehp.0900869

Environmental Health News Sep 08, 2009
Dust, not food, main source of lesser known flame retardants.

Roosens Laurence, Abdallah Mohamed Abou-Elwafa, Harrad Stuart, Neels Hugo, Covaci Adrian (2009) IMPORTANCE OF DUST AND DIET FOR THE HUMAN EXPOSURE TO PBDEs AND HBCDs.
Organohalogen Compounds, Vol.71, 1246-1250

化学物質問題市民研究会の安間さんが上記のニュースを日本語に訳して公開している。

「あまり知られていない難燃剤 HBCD の主要な暴露経路は食物ではなくダストである」
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ehn/ehn_090908_dust_HBCDs.html

  • 「ダスト中HBCDs濃度から算出したHBCDs摂取量」と「HBCDs血中濃度」との間に強い関係がある。
  • 165の食物サンプル中で,わずか13サンプルだけがHBCD濃度を検出可能であった(5〜20pg/g)。
  • HBCDsは全てのダストサンプル中で検出された。また,16人の血液サンプルのうち7サンプル中で検出された(inoue:半数以下の血液サンプル中の濃度が検出限界以下)。ダスト中HBCDs の中央値濃度(114 ng/g)は多くの既存研究よりも低かったが,血中レベル(1.7 ng/g脂質)は米国で行われた既存研究結果(20人のニューヨーク市民の体脂肪で報告されたもの)より4倍以上高かった(Johnson-Restrepo 2007)。

Dioxin2009の質疑では「バックグラウンドの濃度を見ないと,相関があるとか言えないのでは?」と指摘を受けていた。