日本の室内空気からのHBCD曝露量は非常に小さい

 2007年,東京都健康安全研究センターの斎藤さんがIndoor Airに室内空気吸入による日本人のHBCD曝露量についての論文を出した。

Indoor organophosphate and polybrominated flame retardants in Tokyo
I. Saito, A. Onuki, H. Seto
Indoor Air,Vol. 17(1), 28-36, 2007
http://www3.interscience.wiley.com/journal/118513119/abstract

 恐らく日本人の室内空気吸入によるHBCD曝露量を実測値から算出した初めての論文なのではないかと思う。このとき最大曝露量から算出された一日摂取量は 0.0089 μg/kg/day であった。ちなみに,HBCDのTDIを 100 μg/kg/day(EUリスクアセスメントレポートの値を引用)としてもリスクは懸念されるレベルにないことが分かる。
 さて,改めて東京都健康安全研究センターを覗いたところ,新たな論文が出ていた。

可塑剤・難燃剤等による室内空気汚染の実態とその曝露量評価
東京都健康安全研究センター研究年報 第59号, 27-38, 2008
斎藤育江, 大貫文, 矢口久美子, 小縣昭夫
http://www.tokyo-eiken.go.jp/issue/journal/2008/pdf/01-02.pdf

 東京都内の住宅,オフィスビルの室内空気及び外気の半揮発性有機化合物(SVOC)実態調査結果(1999年〜2002年)を総合的に解析し,得られた統計データ(SVOC40種類)より空気由来のSVOC曝露量を推計したようだ。このとき,最大曝露量から算出された一日摂取量は 主婦で 0.006 μg/kg/day,会社員で 0.007 μg/kg/dayであった。前回の結果よりも曝露量を少なく見ても良いということ。また,Indoor Air論文と同じく,HBCDのTDIを 100 µg/kg/day(EUリスクアセスメントレポートの値を引用)としてもリスクは懸念されるレベルにない。
 
 となると,焦点を絞るべきはやはりダストか?