リスク評価をどう位置づけるか

11月29日(日),日本リスク研究学会@早稲田の最後のセッションで岸本充生さんが「リスク評価再考:変化する社会の中で適切に位置付ける」というタイトルで講演された。非常にExcitingなプレゼンだった。
5つの社会の変化が起きているのだという。「リスクレベルの全体的低下」「低成長時代」「安全追求」「地球温暖化」「説明責任」がそれに当たる。これらが相互に関係しあって,様々な変化・問題が生じている。例を交えながらそれを一つ一つ明示された。
「温暖化がもたらす副作用」「政策評価・規制影響評価」「予算制約下での優先順位付け」「リスクトレードオフの普遍化」「自主的取り組み」「リスク評価主体の変化」「ステークホルダーの増加」「科学技術イノベーション重視」「リアルタイムなリスク評価」である。「ここは,こことこことここが理由になって…」という風に,非常に体系的にまとめられていた。かなりじっくり考えられたのではないか,というフローチャートだった。
さて,今回の発表を簡単にまとめると以下の数点になるのではないだろうか。

  • これからのリスク評価は「リスク管理オプション評価」である。つまり,様々なリスク管理を評価するのがリスク評価の役割であり,これは事実上規制影響分析である。(井上:規制影響分析は言葉通り,事後に行うものではなく事前に行うものであり,定量的である必要もない。説明責任を果たすための評価といっても良い。)
  • リスク評価は意思決定の文脈の中で実施されるべき。
  • 俯瞰的に戦略的に対処すれば,リスク管理はできる。
  • やっぱりコストで考えるって重要じゃない?

間違いあればご指摘ください。もう少し臨戦態勢で聞いておくべきでした(記憶に焼きつけるという意味で)。ですが,非常にダイナミックなプレゼンでした。