OECD 規制影響分析のガイドライン更新版

規制影響分析(Regulatory impact analysis,RIA)は,提案された既存の規制と非規制代替案のプラスとマイナスの影響を批判的に評価する体系的なアプローチであり,様々な手法が存在する。RIAの中核を成しているのは,「政策決定に際して,論拠に基づいたアプローチを行う」というポイントである。OECDの分析によると,適切な制度的枠組みの中でRIAを実施することが政府の能力を下支えし,変化の激しい複雑な世界において,規制が確実に効率的で効果的な結果を生むとしている。ほぼ全てのOECD加盟国でRIAが採用されているものの,RIAの導入を成功させることは行政上も技術上も困難であることを,各国とも理解しているとのこと。
そこで,方法論に関するOECDの最近の研究と分析,及びRIAに関する各国の経験をレビューした文書が出た。アマゾンでも購入できるが,OECDの文章は基本的に全部フリーダウンロード可能。

Regulatory Impact Analysis: A Tool for Policy Coherence (Oecd Reviews of Regulatory Reform)

Regulatory Impact Analysis: A Tool for Policy Coherence (Oecd Reviews of Regulatory Reform)

Regulatory Impact Analysis: A Tool for Policy Coherence
15-Sep-2009
http://www.oecd.org/document/47/0,3343,en_2649_34141_43705007_1_1_1_1,00.html

収録されている論文では,次の様なRIAの効果に関する課題を扱っている。

  • 1)RIAの質に影響を及ぼす制度的要素
  • 2)RIAが規制の改善を支援できるようにする方法論的枠組み
  • 3)競争市場の不要な規制を避けるためRIAを利用する指針
  • 4)いくつかのOECD加盟国の事例を挙げて,コーポレートガバナンスの規制におけるRIA活用の再考

併せて,RIA制度の実績を改善して,より質の高い規制を行うことで経済的豊かさを達成する方法に関して,有益かつ実質的な指針を示している。
時間ができたら詳しく読もう。