ノルウェーの最新動向2点

http://www.klif.no/no/english/english/Whats-new/SFT-has-become-the-Climate-and-Pollution-Agency/?cid=30041
 これまで,環境保全管理を担ってきた汚染管理局(SFT:Pollution Control Authority)が「気候・汚染庁(Klif:Climate and Pollution Agency)」として再出発した模様。SFT時代に担ってきた役割中でも,特に,「気候変動問題」対する取り組みを強化する姿勢を示したものと考えられる。以下の書き出しの一番上に温室効果ガスが記述されているので,これは確かなんだと思う(完全に主観)。しかし,やはり2番目には有害汚染化学物質管理がランクインしているところが興味深い。
 Klifが今後取り組む内容は主に以下の5点。
  1. 温室効果ガスの環境中排出量の抑制
  2. ヒト健康及び環境に有害な化学物質の拡散の抑制
  3. 淡水系及び海洋に対する,全体論的かつ生態系ベースの管理の達成
  4. リサイクルの普及及び廃棄物からの有害物質拡散の抑制
  5. 大気汚染及び騒音が及ぼす有害影響の抑制


 PoHS法案はあまりにも他国との協調性に欠けるものであったため,立ち消え状態になっていた。
 しかし,たぶん,以下のような感じでPoHSの当初の理想を実現する予定でいるのではないかと思ってきた。
 2010年1月13日,SFTは臭素系難燃剤に関するアクションプランを発表した(ノルウェー語)。優先的に研究すべき臭素系難燃剤の研究分野が明記されており,2020年を臭素系難燃剤の撲滅の目標年と再度位置づけ,今後10年間で多様な政策が行われることが示唆されている。
 また,2010年3月1日,2007年の優先化学物質(約30種)の環境中排出量(推定)が発表された模様である。
 http://www.klif.no/publikasjoner/2571/ta2571_english_summary.pdf
 国内法は制定せず,アクションプランとその確認(今回の様な排出量推定の公開)及び研究支援によりインセンティブを発生させて排出量削減を実現する戦略を取っている感じだろうか?
 ちなみに基本的な優先化学物質は排出量削減が実現出来ているのだが,なぜか臭素系難燃剤だけが増加してしまっている(1995年→2007年の使用量増加よりも排出量増加速度の方が早いようだ。なぜ?)。なんだか胡散臭い推定結果だなぁと思ったり。「臭素系難燃剤」カテゴリーの内訳が気になるところ。