デンマーク環境保護庁 RoHS改正に関するインパクト分析

先日の欧州議会Policy Departmentのインパクト分析に加えて,Danish EPAも評価書を出していた。たぶんこの4月中に出ていたのだと思う。

Jakob Maag, Ulla Kristine Brandt, Sonja Hagen Mikkelsen and Carsten Lassen
Inclusion of HBCDD, DEHP, BBP, DBP and additive use of TBBPA in annex IV of the Commission’s recast proposal of the RoHS Directive
Danish Environmental Protection Agency, Environmental Project, No.1317 (2010)
http://www2.mst.dk/udgiv/publications/2010/978-87-92617-52-1/pdf/978-87-92617-53-8.pdf

内容としては欧州議会Policy Departmentの出したものとほとんど同じ。結論として,データが無いために良く分からない,という感じ。


HBCDに関しては以下の様なまとめ。
■HBCDの問題点は発達神経毒性と同様に難分解性と環境中で発現する毒性である(CMR性は有していない)。ヒト毒性でいえば,最も憂慮すべきは新生児の暴露により発現する発達神経毒性であり,EUリスクアセスメントレポートはさらなる情報の集積が必要と結論づけている。
■代替物質は既に存在していることは明らかである。しかし,既往文献・報告書を調査する限り,頑健な結論を導くために必要な代替物質のデータが少ない。
■コスト

  • →他臭素系難燃剤へ代替 :100〜1000万ユーロ/年
  • →他のポリマー+非ハロゲン系難燃剤 :500〜2500万ユーロ/年

EU圏中の総増加コストである。現実的なコストはRoHS指令が対象製品の適用かどうかによる。
コンプライアンス管理のためのコストが余分にかかる。化学物質分析のためのコストと標準品を揃えるコストがその殆どを占めている。
■ベネフィット:代替物質はPBT性状を持っていないし,HBCDよりも環境親和性があると結論づけている既往文献は多い。
■統合的な評価を行うためには,「小さな環境影響」と「不確実性を有するヒト健康影響」間のトレードオフを考慮する必要がある。(たぶん,HBCDの代替物質が有する特性は,トレードオフの関係にあるということを言いたいのだと思う。)


これ以外に,DEHP, BBP, DBP,TBBPAの評価も行っている。