公開書簡 HBCDの内分泌影響による毒性は,これまでの公式値の200倍!?

…昨年12月初めに公表された,HBCDのEUのリスク評価書で採用されているHBCDのNOAEL=22.6mg/kg bw/dayを出していたグループが,さらにHBCDの(内分泌)毒性について新たな論文を出しています。…。
(FIREプロジェクトの結果がここに出てきているという認識でよろしいでしょうか)

添付したHBCDの内分泌撹乱の評価書では,詳しく読んでいるわけではありませんが,頸骨の骨塩濃度の減少をエンドポイントとしており,BMDL=0.056 mg/kg bw/dayとのことです。

これに対して,日本やUSEPAが採用していたNOAELは10.2mg/kg bw/dayですので,200倍程度高い毒性値を示すことになります。(この毒性が高いという表現はおかしいかもしれません。こなれていない,正しい言い方をすると,内分泌撹乱と思われる新たなエンドポイントが示唆され,その閾値は従来の閾値の200分の1になることが報告された,というところなのでしょうか。間違っていればご指摘ください。)

また,DecaBDEに関しては,産総研CRMが採用した肝臓への影響:NOAEL=1120mg/kg bw/dayとしていたのに対し,本グループの結果では,男性ホルモン合成に重要な酵素であるCYP17の活動阻害をエンドポイントとしてBMDL=0.18mg/kg bw/dayを採用しており,CRMの推定よりも約1万倍毒性が強い(閾値としては,従来の1万分の1が報告された)ことになります。
(そのほか,TBBPAも評価対象となっており,内分泌攪乱をエンドポイントとしてBMDが出ていますが,これと同じく低い値です)

エンドポイントとして,非常に微少なところで評価が行われていますが,これらの内分泌撹乱評価に対して,…情報など,ございませんでしょうか?

毒性評価結果に対する知識が不足しているため,こういった論文に対する耐性ができていないのです。

リスク評価には興味があるけれど,毒性評価に対しては苦手意識を持っている人が多いと,前々から言われていることではあるけれど,僕もその一人。毒性評価に抵抗感を持っていてはいけない!ということで,もっと勉強して,冷静な判断ができるようにしたいですね。
臭素系難燃剤(特にHBCD)の内分泌かく乱について,何か情報をお持ちの方は,ぜひとも連絡をいただきたいと思っています。よろしくお願いします。